先日、第37回全日本DM大賞のエントリーが締め切りとなりました。
今年は社内で2つのDMをエントリーし、3年連続の受賞を目指しております。
普段、DM大賞をテーマとしたコラムは受賞作品が公表される4月以降に書いているのですが、全日本DM大賞の公式サイトにて「エントリーシート書き方の必勝法」として弊社が応募したDMのエントリーシートを取り上げていただいたので、今回は全日本DM大賞のエントリーシートの書き方についてご紹介します。
全日本DM大賞の特設サイト「エントリーシートの書き方の必勝法」はこちら!日本郵便株式会社
まずは全日本DM大賞のエントリーに必要な項目は、9つの大項目に分けることができます。
(広告主や応募者情報などの基本情報は除く。応募項目は2022年10月31日時点)
目次
応募項目その①:DM情報
①の「DM情報」には、25文字以内で施策を表現する“作品名”をはじめ、“DMの形状”や“発送数”、“ターゲット”や“実施期間”を記入し、新規顧客の獲得や顧客継続化など、どのような目的で施策を実行しDMにどのような役割を持たせたかを選択形式で選ぶ項目があります。
この大項目でのポイントは、審査員の興味を引く作品名を用意する事と、ターゲットを詳細まで記入する事です。
作品名については、レスポンス率などの効果面で良い結果を残したDMであればその点をアピールしましょう。
数値面での押しが弱い場合は、企画のコンセプトを端的にまとめた作品名にしましょう。
例えば、2022年に銅賞を受賞している十八親和銀行様では、「924%」と数値的な根拠を作品名に取り入れる事で、前回のDMの実施効果を大きく上回っている事をアピールしています。
一方で弊社が2021年に銀賞を受賞した籠淸様では、「思い出フラッシュバック!」といった、思い出がよみがえるようなコンセプトのDMである事を作品名に取り入れたことで期待感を高める工夫をしています。
ターゲットは「既存顧客」などではなく、「1年間での購入回数が5回以上の子供がいる30代男性の既存顧客」など詳細に記入する事が大切です。企画段階でペルソナを立てている場合は、そのペルソナの情報を記入しましょう。
DM成功の可否はターゲティングと言っても過言ではありません。明確なターゲット像を立てて企画をしたという点 はアピールに繋がります。
応募項目その②:実施概要
②の「実施概要」には、DMを企画した目的・背景やDMに期待した効果、工夫した点や苦労した点、実施結果に対する評価などを記入します。
「離脱率が高いから離脱防止率10%ダウンをねらいとしてDMを実施した」など、目的・背景・DMに期待した効果を一文でまとめます。
その一文に対し、なぜDMなのか。なぜDMでなければならないかを補足し、DMを企画する上で何に重点を置き、どんな課題がありどのように解決したのかを明確にします。
2021年に銅賞を受賞した弊社のDMでは、
コロナの影響で売上が減少したので、“コロナ禍で在宅時間が増えるから手元に直接届くDMが効く”という切り口で DMを実施した旨と、少しでも売り感を減らす工夫として“DMは第三位のメディア”である事をティザーコピーで表現 し、メインコピーで「そもそもDMとは何なのか」という問いかけを用意した旨を記入しました。
また、短期間でROASがおおよそ1000%を記録した事も数値的なアピールポイントとして記入しました。
どういった意図でDMが企画され、どういった意図でこのDMができているのかを明確にする事が大切です。
全日本DM大賞 ガリバー自社DMについてはコラム001にて解説
応募項目その③:商品情報
③の「商品情報」には、“商品(サービス)名”や“商品(サービス)の価格”、“商品(サービス)説明”を記入します。
商品(サービス)名の項目は、ただ単純に「化粧品」などと書くのではなく「SNSで話題になってリピート率95%の自然派化粧品」など補足情報を盛り込むことが重要となります。
上記の例では、1度購入すれば継続購入に繋がる点や、SNS(他メディア)との連動に繋がった点がアピールでき、他の項目で記入する内容に深みを持たせることが可能となります。
応募項目その④:実施経費
④の「実施経費」は掛かった費用と項目を記入します。
DMの企画・制作・発送費に加え、特設サイトを作成した場合や別のメディアを使った場合はそれらの金額を合算した金額となります。
応募項目その⑤:実施効果
⑤の「実施効果」については、“レスポンス数”や“注文者(件)数”、“売上”など数値的な入力項目になるので具体的な説明はありません。(“レスポンス率”、“CPR”、“CPO”などは自動入力されます。)
“平均顧客単価”と“顧客LTV”は任意項目となっており、エントリーするDMの評価に直接的な関係はないように思えますが、1,000万円の商材を訴求している場合など、レスポンス率だけでは判断できない数値の評価に繋がります。
エントリーシートにROAS(費用対効果)の入力欄が無いので、単価の高い商材の場合はこの項目は入力必須と言っていいほど重要な項目となります。
この大項目で唯一の記述式項目である“DMの効果DMにより得られた効果、お客様の声などについて、具体的にご記入ください。”については、レスポンス率など数値的な事柄は既に記入済かと思いますので、前年対比や前回の同施策との数値的な比較や、お客様からの声や口コミなどの数値では表せない効果を入力しましょう。
例えば、2021年に銀賞を受賞した籠淸様では、
前年まで実施していたDMとDMの仕様・部数・レスポンスで比較し、仕様変更した理由とコスト面で部数を減らした点を中心に、レスポンス率がどの程度伸び、DMからの売上がどの程度増したのかをまとめました。
その時の文章が、
『はがきDMを6000部実施しておりましたが、マンネリ化が進みレスポンス率が下降傾向にあったので、トータル予算は変わらないようにターゲットを絞り、投函通数を減らす事でその分のコストをDMの仕様に回す事にしました。同等の予算で実施した為、投函通数は約半分になりましたがレスポンス率は約倍となりレスポンスの件数も前年を上回りました。DMからの売上も140%を記録しました。』
となります。
比較対象を明確にし、予算を変えずにDMの仕様を変更した方法などを補足していくような形式でまとめています。前年のDMと比較する項目はエントリーシート上にはないので、売上が前年比140%となった点をこの項目最大のアピールポイントとしています。
もちろん前回実績が無いDMもあるかと思いますので、続いては2021年に銅賞を受賞した弊社のDMの文章をご紹介します。
『接点のなかったお客様との接触や、新規顧客獲得ができました。DM投函後にテレマを行ったところ、取引やお問合せに至らなかった方からも「こんなDMつくれるんですね」「思わず開けたくなりました」「DMの実施について社内で協議することとなりました」など前向きなお言葉をたくさんいただきました。何より、ターゲットが接点の無い方々ということにも関わらずクレームが1件もありませんでした。』
と上記のような文章でまとめてあります。
審査員の方にはDM業界の方だけではなく、通販業界やWEB業界の方もいらっしゃるので数値的なアピールができていない点がネックでした。ただ数値的なアピールができなかったので「ターゲットが接点の無い方々」というワードを使い、ターゲットが未接点客なのに受注数やレスポンス率が高いという印象に繋がる表現にしました。
応募項目その⑥:マーケティング戦略
⑥の「マーケティング戦略」については、このDMで解決したかった課題と解決策を記入する項目となります。マーケティング戦略と聞くと難しく考えてしまいますが、“どのような考え方を持ってDMを作ったのか”を記入すれば良いかと思います。
2021年に銀賞を受賞した籠淸様では、
『フラップ部分に暖簾のデザインを用いる事で『暖簾=籠淸』と結び付けられるような事を狙いとしました。(本店をはじめとした実店舗にはDMの柄と同じ暖簾が実際に掛かっているんです)バスツアーなどでお見せを訪れる方も多いので、DMで思い出をフラッシュバックしてもらい「旅先の味(籠淸の味)をもう一度食べたいな」と思っていただき、DMから購入していただく事を狙いとしました。』
と作品名を裏付ける内容を記入しています。
次の大項目にあるクリエイティブと内容が重複しがちなので、同じことを書くにしても切り口や角度を変える点には注意が必要となります。
応募項目その⑦:クリエイティブ
⑦の「クリエイティブ」は、コピー、デザイン、パッケージのサイズ、構成や、DMや企画のコンセプト、工夫した点、こだわった点、苦労した点などを記入する項目です。
2021年に銀賞を受賞した籠淸様では、⑥マーケティング戦略で前述した内容と同じ点についてまとめていますが、切り口を変えております。
記入した内容は
『実店舗に飾られた暖簾をDMを開封する際のギミックとして組み込みました。コンセプトは「思い出のフラッシュバック」と「疑似来店」です。(バスツアー客や旅行客には思い出のフラッシュバック、継続的に購入いただいている方や近隣にお住まいの方には疑似来店を) フラップを開けた際に真っ先に目に入る部分には挨拶文を掲載し、“売り感”を抑えました。』
となります。
暖簾=籠淸といった印象付けのためにデザインした暖簾に、マーケティング戦略では受け取る人の心情面の期待を。
クリエイティブではDMのコンセプトをまとめております。
応募項目その⑧:クロスメディア
⑧の「クロスメディア」は、他のメディアと連動したDMの場合、どのようなメディアを利用し、DMとどのように組み合わせ、どのような効果が得られたかなどについて記入する項目となります。
特設サイトを作った場合や、SNSとの連動でスタンプラリーを行った場合などに記入する項目となります。
2022年に銅賞を受賞した横浜信用金庫様では、DMを家族間で共有してほしいという目的から、一人でも家族でも楽しめるゲーム性のある特設サイトを作成し、その旨を記入しました。また、WEBサイトの説明となるので、特設サイトのスクリーンショットを印刷し別添資料として提出しました。
全日本DM大賞 横浜信用金庫様DMについてはコラム027にて解説
応募項目その⑨:その他
最後は⑨の「その他」となります。
DMを継続して利用している理由や、DMに期待していることについて記入する欄なのですが、エントリーシートの①DM情報で記入する“ターゲット”について補足する事ができるので、②の実施概要とは別視点で企画意図をアピールする事ができます。
またDMと他媒体の比較もでき、なぜDMなのかといった部分でも戦略的にDMを活用しているかといったポイントに繋がるので、189文字以内と少ない文字数制限の中で如何に簡潔に伝えられるかが重要なポイントとなります。
以上がガリバーが考える全日本DM大賞エントリーシートの書き方必勝法となります。
最後に
ガリバーはDM大賞の受賞を目的として企画しているわけではありません。
お客様、そしてDMを受け取る“お客様のお客様”に有益となる効果的なDM創りを心がけております。
些細な事でもお気軽にご相談ください。
ガリバーはDMの印刷・発送にとどまらず企画からお客様を全面サポートしています。
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